「相談する相手が自分でいいのか?」というケースがあります。特に困惑するのは、立場が異なる人からの持ちかけです。しかし、たいがいの相談は具体的な解決策の求めより、愚痴やボヤキの要素が多分に含まれているので、「それについて答えたら自分の首を絞める」と思っても、ひとまず聞いてみるのが適切な振る舞いではないでしょうか。
今回は、発注者と受注者の間の会話。前者は30代半ばの制作担当で、後者は僕です。
「いい仕事をしてくれるんですけれど、請求書の発行がいつも遅いんですよ。経費精算も。そのせいで自分が経理部に文句を言われ続けるんです」
え~と、発注者の彼がこぼした相手は僕ではありません。まぁ、僕であったなら面と向かって言いはしないだろうけれど。
「またそういう人に限って、締め切りも守ってくれないんです」
これも僕じゃないのだけれど、話を聞いて思ったのは、僕らの業界には今も昔もルーズな人がいるんだなと、ちょっと懐かしくなりました。
いやいや、郷愁など持ち出したら彼に気の毒ですね。実際のところ、個人で撮影や執筆を請け負う者の中には、発注品の仕上がり以外の業務が疎かな人間が少なくないようです。それでもちゃんと振り込みを得らるのは、彼らが嫌がる作業を肩代わりしてくれる誰かが発注側にいてくれるに違いありません。そういうヤツ、僕の編集者時代にもいっぱいいたなあ。
「ガツンと言いたいんですけれど、ウチのギャラが低いみたいだから強く出られなくて……」
わかるなあ。変に板挟みになって疲弊しなきゃいいと心配になりますよね。
とは言え、発注者を案じて受注者が思ったことを口にしたら、口にした当人が同様の措置を受けかねません。それで黙っているのは、せっかく相談してくれた若者に対して卑怯という他になし。だから、自分の編集者時代にも実行した手段を伝えました。
事務手続きの遂行も締め切り厳守も業務契約の内だから、あまりにできないなら切ればいい。あるいは、一度正式に脅してみたらいい。
「なので新しい人材探しを始めました。自分自身を救うためにも」
ほぉら、すでに具体的な解決に動いているのに、自分が窮地に立たされるようなことを言っちゃったじゃないか。だから相談って難しい。約束事はちゃんと守らなければというくらいしか、僕には収穫がなかった気がするのだけど、それでいいんですかね?

本日のお相手は、納車待ち多数の大人気新車さん。
