Nuovo Cinema Paradiso

先日のBSで放送された『ニュー・シネマ・パラダイス』。このイタリア映画、ご存知の方は多いと思います。幼少期のトトがかわいかった名作。僕はたぶん2回は観ています。なのにわざわざ録画したのは、もう1回くらいは観てもいいと思ったからです。それくらい良い作品ってことでご了承ください。
ただ、いつ再生するかには少しだけ悩みました。というのは、全編を通じて郷愁に満ち満ちている内容を知っているわけなんですね。果たして、今このタイミングでその優しい懐かしさに心を預けていいのだろうかと、そんなことが無性に気になったのでした。
年頃の問題だと思います。そこそこ長い時間を生きてくると、必然的に思い出が増えてしまいます。そりゃもうこの映画が日本公開された1989年の頃の自分とは過去の長さが段違いです。そしてまた思い出というのは、リアルタイムで進行中には苦しみ傷ついた事実を風化させる段階で、それとなく優しいムービーに再編集してしまうものです。人生を大きく左右した出来事であっても、「そんなこともあったなあ」と他人事のように俯瞰させてしまうというか。
そんな郷愁に溺れるのが怖い! 自分の都合のいいように改ざんされた古い記憶のほうが目の前の現実よりあったかいなんて感じたら、オレの人生もう終わりだろうと。などとぐたぐた迷いながらも観ちゃいました。何だそれって話で恐縮です。
おそらく3度目の『ニュー・シネマ・パラダイス』で感じ取ったのは、人生において郷愁に触れるべき最良の時期の在り様でした。あるいは、不可避なタイミングが訪れるまでは郷愁に近寄ってはならないという訓示、でしょうか。世間ではよく、作品に触れる年齢によって感じ方が変わると言います。その通り! 甘美な感傷に迫られることに恐れをなすなんて、以前にはまるでなかった感覚です。
いろいろ喋ってますが、よかったらご覧くださいまし。そう、今回初めて知りましたが、僕が観た『インターナショナル版』の他に、トータルで約30分長い『完全版』が存在するようです。有名なラストシーンの前にも『インターナショナル版』でカットされたエピソードが入っているらしく、それじゃ郷愁が改ざんされちゃうじゃないかと困惑しました。このまま遠ざけておくのが最善かなあ。

モミジの葉の表面は案外黒ずんでいて、日が当たらないと鮮やかな紅葉に見えないみたい。

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