1982年の今日12月4日は、日本で『E.T.』が公開された日だそうな。このスティーヴン・スピルバーグ作品、僕にしては珍しく映画館で観ました。それをよく覚えているのは、2歳か3歳上の綺麗なお姉さんに誘われたからです。
もうひとつ記憶に鮮明なのは、E.T.を守る子供たちが自転車で空にふわっと飛びあがるシーン。なぜかそこで猛烈に込み上げてきて、このままじゃお姉さんのとなりで泣くかもしれないと焦り、シートの上で腰を大きくずらしたんですね。顔も上に向くと思ったから。その瞬間、僕の中ではこんな声が響きました。
「やっぱり映画は一人で見たほうが思いっ切り泣けるよな」
そんな無粋なことが頭を過るくらいだから、そのお姉さんのことが好きだったかどうかは今となってはよくわかりません。そもそもなぜ自分に声をかけてもらえたのかも謎だし、映画を観た後でどういう行動をとるのが正しいかもわからなかった。実際にどうしたんだっけ? そこの記憶は完全に抜け落ちている。色っぽいことがあったなら忘れるはずはないよな。
いずれにせよ20歳になったばかりの僕は明らかに経験不足でした。そのときのことを思い出すと恥ずかしい気持ちになります。そう言えば、そのお姉さんの綺麗さを共感していた友人に、特に自慢するでもなく二人で映画を観た話を報告したら、1週間くらい口をきいてもらえませんでした。そういうことは言わないほうがいいという事実も、そのときまで知らない教訓でした。
あのお姉さん、今もどこかで元気に暮らしているだろうか。そんなことを考えるとき、僕の中に現れるお姉さんは若い日のままです。それ以外の映像記憶がないから当然かもしれないけれど、歳喰った自分は棚に上げるなんてずるい思考だよなと思ったりもします。

ここのところは、黄昏感の高い写真ばかりで恐縮です。
