聞くところによると、今日10月7日から今年のノーベル賞受賞者の発表が行われるそうです。生理学・医学/物理学/化学/文学/平和/経済学の6部門からなるノーベル賞。って、各分野で人類に貢献した人に贈られる、賞金が1億円ほどの、確か12月あたりにストックホルムで華やかな授賞式が開かれるというものですよね。そんなわけで、今となっては世界的権威を誇る特別な賞ですが、その始まりはかなり個人的なものだったみたいです。
1867年にダイナマイトを発明したスウェーデン生まれのアルフレッド・ノーベルは、自身の科学知識と類稀な発明で巨万の富を獲得。そんな彼が55歳のとき、衝撃的な事実に遭遇します。
1888年、ルードヴィ・ノーベルという兄が亡くなったとき、ある新聞が有名なほうの弟が死んだと伝えたらしいんですね。その際のタイトルが「死の商人、死す」。そこでノーベルは、爆薬や兵器の開発で大金持ちになったことを否定的に書かれた、自分の死亡記事を読む羽目に陥りました。これが相当ショックだったようで、1896年に63歳で亡くなる1年前、おおむね次のような遺書を残したのです。
「自分の財産をもとに基金を設立し、人類のために貢献した人たちに分配する」
その意思を引き継ぎ、1900年にノーベル財団が設立され、翌1901年に初の授与式が開催されました。ちなみに式が行われる毎年12月10日は、ノーベルの命日にあやかっています。
当人が読めるはずもないと思って書かれた「死の商人」扱いの記事に対して、ノーベルがどれほど傷ついたかは知りません。しかし、かなり嫌な見方をすれば、莫大な財産を有した個人の尊厳を取り戻すために始まった(というユニークなエピソードを持ちつつも)、それなりに身勝手な賞と言ってもいいでしょう。ただし重要なのは、それを世界的な権威にまで育て上げた人たちの努力を見逃してはならないことだと思います。
さておき、ノーベル賞発表ウィークに向けて、「もしや自分かも?」とドキドキしている人がこの世界にどれだけいるのでしょうか。研究や活動の始まりが個人的な理由であれ、僕らの未来を明るくしてくれる、然るべき人が受賞されることを祈るばかりです。

ベンチからチームメイトの活躍を見守るさびしさ、よくわかるよ。
