新たな居場所

昨日からの続きですが、新たな居場所になりそうな店ができました。40代になりたてのオーナーシェフは、以前に勤めていた飲食店時代からの知り合いです。
昨年の8月、ついに独立するという連絡をもらいました。年末までにはオープンできると記してあったけれど、年が明けても音沙汰がなかったので、もしやと不安になってメッセージを入れてみたら、「開店の11月末から1月までドタバタしていました」だって。そりゃ慌てるくらいの勢いでスタートしなきゃね。
いずれにせよ不安が解消された翌日、彼の店に行ってみました。最寄りの駅から徒歩15分の、繁華街から遠い住宅街の中。そのロケーションだけでも勇気を感じました。
居抜きという彼の店は、こじんまりとしていながら、僕にとって好条件のカウンターとオープンキッチンの設え。平日の晩だったので、カウンター席に2名と、テーブル席に家族連れと思しき1組のみ。そんな空いた日も、居場所の始まりとしては最適です。
「知っている人がいてくれるだけで、心強いです」
そうなんだろうね。初めての場所で知らないお客さんたちとつながっていくのは、なかなか気持ちが休まらないのかもしれない。それでも久しぶりに会った彼は、たった一人の厨房で生き生きとしていました。
「雇われていたときは食材コストなどうるさく言われたけれど、今は仕入れから全部自分で決められるので、儲けどうこうより自由がうれしいです」
などと不器用な笑顔で話す彼の料理は、故郷産を始め厳選された食材を生かした、以前と変わらぬ彼らしいものでした。確かに、僕でも儲けどうこうじゃないのがわかる内容だったな。
カウンター席の女性の一人は、昨日の初来店から二晩連続。近くでスイーツの店を経営しているそうな。テーブル席の家族もまた歩いて数十秒のところにお住まいらしく、居抜かれる前の店には来たことがないという話が漏れ伝わってきました。
「空き店舗になったのは知っていたんですが、僕ならここで店を開く勇気は持てない」
僕と同じ感想を口にしたのは、会計の際に新オーナーシェフと言葉を交わした、テーブル席に座っていたご主人。実は、有名なイタリアンのオーナーシェフらしい。図らずも同業者の検分を受けたような彼は、後に「先に教えてくれればよかったのに」とボヤいていました。まぁ、先に知ったところでとは思ったけれど。
僕らだけになってから話したことは、明日のネタにします。そんなことよりも、ご近所さんが美味しく食べられる居場所になりそうな気配が感じ取れて、何だか心が温まりました。

高級な食後酒も頂いたりして、新たな居場所では美味しい思いもさせてもらっちゃった。

 

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