恩人の日

本日は桃の節句。ですが、僕にとって3月3日は、生涯決して忘れ得ぬ救いの手が差し伸べられた、勝手に制定していいなら、恩人の日です。
この件、前にも一度書いた覚えがあるので要約します。その重大な決断には、生活が立ち行かなくなる可能性がありました。それでも実行したので、実際に苦境と呼ぶべき状態に陥ったことに後悔はなかった。しかし自動的に、先々の不安に駆られる日々が続きました。
そんな中、前年の夏に某喫煙室で「そのうち飲みましょう」と言葉を交わした人との約束が、半年を経て叶ったのです。僕から声をかけたのだけど、その時点ではお世話になっている人との、ごく普通の飲み会に過ぎないと思っていました。
ところがその場で、久しぶりに会ったその人が、僕を個人的なライターとして雇うアイデアを思い付いたのです。そんな仕事は聞いたことがありませんでした。とは言え、依頼を断る理由は皆無。何しろ苦境の最中だったし。けれどそれ以上に、職業人として尊敬していた人から直接オファーを受けたのがあまりにうれしかった。思い付きなので、僕に対する信用の度合いは測りかねるけれど、とにかく人生にはこんなことが起きるんだと、やっぱり捨てたもんじゃないなと、そんな感動に酔った晩でした。
それが、2014年の3月3日。雛祭りの日に男同士で飲んだので、忘れ難いんですよね。ちなみにこの仕事は、現在も続いています。その内容よりお伝えしたいことがあります。
僕はその人を恩人と慕い、それに報いようと今日も務めを果たすわけですが、あれから11年でその人は、僕に恩を与えたとか、ましてや売った素振りをたったの一度も見せたことがありません。ただただ、閃いたアイデアを形にしたかっただけ。
そんなシンプルな人だからこそ、生涯忘れ得ぬ恩人になるんだなあと、今日を迎えるたびしみじみと思います。いやいや、恩を受けた側が条件みたいなことを口にすべきではありませんね。
これも立場をわきまえない発言ですが、僕はよい人から恩を授かりました。それもきっと、この人生の幸運です。

なんて鮮やかな実! って近づいたら、造花、いや造実だった。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA