よりによって

【よりによって】は、「他にもたくさんあるのに、どうしてわざわざそれ?」という、おおむね残念なケースで使われます。というか、肯定的な使い方があるのかな。
さておき、日常的に使用頻度の高い言葉ながら、書くときも話すときも、漢字を充てるイメージは薄いですよね。それはおそらく、残念な気分を表現したいときは、平仮名でさらっと言い切ってしまいたいからだと思うのです。
なので、知ったかぶりでどんな漢字を充てるか伝えなくてもいいのだけど、あえて示せば【選りに選って】となります。【選】を用いるので、なるほどなあと感心したりしますが、この漢字もかなり性質が悪いんですよね。音読みは【せん】だけなのに、訓読みになると【えら-ぶ え-る・よ-る・すぐ-る】と4つの顔を出してくる。こんなことだから漢字テストが嫌いになるんですよね。
それよりも【選りに選って】の場合、【選】を2回繰り返すと誤った選択になるというのは、なかなかに人生訓的です。僕にも、自分のファーストインプレッションを信じておけばよかったと嘆くことがしょっちゅうあります。
この類は連語というらしいです。他に思いつくのは、【練りに練って】とか【凝りに凝って】。
【練りに練って】は、より良いものにするため繰り返し手を加えるという意味なので、こちらはおおむね肯定的な場面で使われます。対して【凝りに凝って】は、ポジとネガの両側面を有していますよね。たとえば趣味的なこだわりを評する場合は一種の賛辞になるし、肩凝りの酷さを訴えたいときは嘆きの要素が強くなる。いずれにしても日本語は、なかなか厄介で愉快な言語です。
例によってぐだぐだ書いているのは、外出の予定があるのに雨だの雪だの予報が出たからです。要するに【選りに選って】。しかし、そんなちんけな愚痴は毎日外出される方には聞かせられないし、ましてや一週間も山火事の恐怖に迫られている地域の方ならなおさら。よりによってこっちに振った雨や雪をそちらに届けたいものです。災いの連語が早く断ち切れますように。

振り出しから雪寄りのみぞれでした。

 

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