ウニの握りから

普段は野球の話などしない人からも、「テレビ観たの?」と聞かれるくらいですから、メジャーリーグの日本開幕戦、というより大谷さんの凱旋帰国は、極めて注目度が高いトピックスであることがわかります。
その熱量を受け、野球以外のトピックもたくさん紹介されていますよね。日曜日の夜、ドジアースの日本人トリオが選手だけを招いた日本食のディナーを催したというニュースは、その筆頭と言っていいでしょう。そこで、あのパーティの費用はいくらなんだと下世話なことが頭を過る一方で、僕らがこの話題に飛びつく理由を考えてみました。
その答えも、実は極めてシンプルなんだろうと思いました。伝統的な日本食は、独自の変遷をたどったことで、世界から見ても特異な存在です。それゆえ外国から来た人に何かご馳走するとしたら、寿司や天ぷらやしゃぶしゃぶなどが思い浮かぶし、あるいは外国から来る人も、その類を食したい希望を口にするでしょう。
それはつまり、異文化体験への期待なんですよね。僕がオーストラリアに行ったときは、カンガルーやワニの肉を振舞われました。けれどおそらく調理法の問題で、僕はその1回で十分と思ってしまった。
そんな記憶を引き合いに出すと、オーストラリアの方々に申し訳ない気持ちになるけれど、少なくとも和食は、よほどの行き違いがない限り、日本のどこで食べても美味しいはずです。まずはその事実を、僕ら日本人は承知している。
さらに重要な点は、僕ら日本人は伝統的な食を過去のものにせず、今も日常的に食している、というより好物にしているからこそ、ドジャースの日本食ディナーに興味が及ぶんじゃないでしょうか。寿司はいいよね、焼き鳥も美味そうだ、ってな具合で。だから、もしあの夕食会がフレンチだったら、およそ「へぇ」で終わった気がするんですよね。
何が言いたいかというと、すこぶる特異で美味な日本食を普通に味わっている贅沢を、僕らはもっと大切に噛みしめるべきではないかという、極めて普通の結論です。いやまぁ、フレディ・フリーマンが初めて口にしたというウニの握りがめちゃくちゃ美味そうだなあと、そう思ったところからこんな話になりました。

10日ほど前に行った京都市左京区の花脊。春の始まりというより、冬の終わりでした。

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