タコになりたい

自分の愚かさには、できるだけ目を向けません。数え出したら切りがなくなりそうだから。それゆえ愚行の顛末は、たとえばソファの下の隙間に一旦押し込んで、ひとまず忘れることにするのです。しかし残念ながらソファは小さいので、やがて愚行はフロアにあふれ出し、いよいよ己の哀れさから目を背けられなくなるのです。
ややこしい言い回しですが、単にスニーカーの買い過ぎという話です。なぜか定期的に欲しくなっちゃうんですよね。しかも、身に着けるものはネットで買いたくないと思っていながら、スニーカーに関してはいくつかのブランドのサイズ感を知っているので、外さない自信までついている。だから、まぁ、ポチッと。
それがレア物のコレクションであれば、愚かさにも光が射すはずです。同じ趣味を持つ者同士で、互いの愚行を称え合う楽しみも生まれるでしょう。けれど僕のスニーカー買いは、あくまで自分の価値観に沿った上で、およそセール品に絞られる。だから誰かに褒められることもないけれど、好みのデザインがお手頃価格ならアリだろうと、そういう甘さが引き金になってしまうのです。
当然のことながら、ソファ下の肥やしにするつもりなどなく、実際に履きたいのです。ただ、職業的に外出機会が少なめなので、靴の増加にはデメリットしかありません。ずいぶん前から下駄箱は満杯だし。
なのに、また買う。買った以上はすぐに履きたいのに、おろそうとした日に限って雨が降る。忍びないでしょ、記念すべき新品の第一歩がぬかるみなんて。そこにもまた甘さがはびこるから、箱から出ないスニーカーだらけになるのです。あと、外出機会があってもクライアントがスポーツブランドだと、他社製品を履けない場合もあるんですよね。
そんな言い訳をしながら、先月買ったスニーカーをソファの下に隠そうとしたら、先述の通り、いよいよ隠匿空間に収まり切らなくなりました。大した数じゃないのにそんなバカなと先達を引っ張り出すと、まだ履いていなかったスニーカーが……。
思わず「タコになりたい、足の多さでイカのほうがいいか」とつぶやきました。本当にどうでもいい話ですみません。

雨に滲む街角。いや、近所の踏切。しかし、なんでこんなに寒いんだろ。

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