『侍タイムスリッパー』という映画を観ました。例によって、プライムビデオです。
幕末の京都で武士道を貫いていた会津藩士が、いきなり現代の京都にタイムスリップ。何もわからない場所に落とされた中、時代劇撮影所で斬られ役として生き抜こうとする、というのが本編のあらすじ。
物語の展開にタイムスリップを使うのはありがちだったけれど、時間の壁抜けを迫られた人物が歴史的英雄ではなく、なおかつ現代でも裏方的なポジションを与えられた点が興味深かったんですね。
それからこの映画は、2600万円という低予算の自主製作ながら、数々の映画賞を受賞したことでも注目を集め、興行収入が約10億円に届こうとしている、というのも話題になっています。そんな情報があったから、僕も出会えました。そしていつも残念なのは、やがて大ヒットする作品を最初に気づけないこと。だから、映画好きとは口が裂けても言えない自覚があります。
さておき、ふと目にした『侍タイムスリッパー』の評価では、「無名のオジサン役者ばかりでしんどい」といった声がありました。そもそも低予算なので有名な役者を起用できなかったのは承知されているのだろうけど、そういう意見に触れると、ぎくっとなります。この作品に対する僕の好感は、お前も嗜好が凝り固まったオッサンだからと指摘されたように感じたからでしょう。
けれど個人的には、世代も性別も入り乱れた物語が好きです。何よりも、老人は老人らしく、子供は子供らしくといった旧来の分別を鮮やかに破壊してくれたら気持ちいい。仕事であれ趣味であれ、何か一つの軸を頼りに、年齢を越えて共感できる例を疑似体験してみたいから。
しかし実社会では、言い訳や弱音を慰め合えるグループに属するほうが楽なのかもしれません。身の程を知るという点においても賢そうではあるし。どうなんだろう。それはつまんねぇなと思ってしまう僕は、身の程知らずの夢想家なんでしょうか。
え~と、自分の話はどうでもよくて、『侍タイムスリッパー』が一定の評価を得たのは、それでも時代劇が好きという純粋な情熱を受けたオーディエンスが多かったからだと思っています。よかったら、ぜひ。
清潔感に拒絶されるような、僕には不慣れな地上9階の廊下。
