アドバンテージ

テニスのユニークさは、1ポイント目を15と呼ぶだけではありませんね。同点のデュースになったのち、1点を取ったほうに対して「アドバンテージ・タムラ」と名指しするのも、かなり変わっていると思うのです。
その理由を探ってみたら、デュースになった場合、2点連続で取らないと勝ち切れないルールがあるので、現在はどちらが勝利に対して優位な立場にいるのか、審判がコールすることでプレイヤーにも観客にもわかりやすくするためなんだそうです。そんな不明瞭な状態を生み出すくらいなら、4点先取でいいですよね。けれどそうではなく、40-40に到達したら一旦仕切り直して、新たな次元の勝負を行うのがテニスのカルチャーみたいです。
そこで改めて気づかされたのが、アドバンテージは混沌した状況の中で、あくまでかろうじて優位に立っているだけ、ということでした。何か、それこそ不明瞭な話ですよね。すみません。
少なくとも仕事において、僕はアドバンテージをかなり意識します。たとえば人と向き合うインタビュー取材は、遅刻厳禁。礼儀うんぬんよりも、相手を待たせた時点で僕の分が悪くなるから。そして「私が仕切りますよ」と宣告するため、必ず自分が第一声を発する。「今日は何を聞かれるのかな?」などと相手に口火を切られたら、デュースに持ち込むのも難しくなるのです。
それから、原稿の締め切り。10年ほど前までは、あえて締め切りの前日に書くようにしていました。崖っぷちに立ったほうが集中力が高まると思ったから。
そんな方法で一定の効果を上げてきましたが、それだと締め切りに追われる焦燥感は拭えません。テニスで言えば、どんなゲームもデュースに持ち込まれる感じ。そうではなく、常にラブゲームで勝ち切れるような、締め切りに追いつかれない優位的なスケジュール管理をするべきではないか。そう心を入れ替えて現在に至っています。
とは言え、スケジュールがどうあれ僕の技量不足でデュースになる場面は少なくありません。結局のところ、十分な余裕など幻想に過ぎないのでしょう。それでも「アドバンテージ・タムラ」と自分に呼びかけ、それこそ幻の優位性を信じながら、先ほど重めの原稿を締め切り前に提出しました。ゲームセットのコールは、まだ届いておりませんが。

夜の首都高の雰囲気を撮りたかったのに、手間の金網にピントが合ってしまった失敗例。

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