「悪気はないんだよね」と言われる人、僕は苦手です。すっかり大人になっても無邪気なのでしょう。だから誰かがかばってくれる。しかし、たとえ悪気がなくとも、なされた行為は他者を傷つける場合があります。なおかつ、本人にそのつもりがないからか、似たようなことを方々で繰り返す。あるいは、一度は悪気のなさに甘んじて許した同一人物に対してもやらかす。そこで嘆くわけです。どうせ災いを招くなら、思い切り悪気があってほしいと。そのほうがよっぽどスッキリすると感じたことが、人生に三度ありました。同じ血液型の人間によって。型の発表は差し控えますが、その類の気配はさすがに学習したので、可能な限り近づかないようにしています。
言ったもん勝ちを誇る人もいますね。たいがいは語気が粗目で声量も大きく、前言撤回を宣言しないまま、また新たな暴言を吐けるタイプには、奇妙な感動を覚えたりします。そこまで厚顔無恥を通せるのは、一種の才能だろうと思って。
その典型的な例をこの時期に挙げれば、ご想像の通り、現アメリカ大統領しかおりません。予想以上の言いたい放題。しかも事実誤認が多いから、熱狂的な支持者以外の世界中の人々は、呆れながらも振り回されるという、極めて残念な状況に追い込まれています。
日本ではボウリングの球を投げつけてもボディがへこまないクルマしか許されない。だからアメリカ車は日本で売れないのだという。これは笑いました。こんなバカげた発言を許したホワイトハウスのスタッフも、「さすが大統領!」ってもてはやしたかな。
悪気のない無邪気な人なのかもしれません。そこに言ったもん勝ちの気性が重なっているから、最強のハイブリッドタイプですね。ますます近づきたくありません。しかし世界は当分の間、彼の暴れっぷりに付き合わされるでしょう。
ただ、こうも思うのです。最強が最強を誇示し尽くせば、必ず揺り戻しが起きるはずだと。ゴジラだって放射熱線を吐き切ったタイミングを狙われましたから。そうして逆風を一身に集めたとき、それでも自分の悪気のなさに気づけないのかもしれません。僕が知っているそのタイプが、まさしくそういう人間だったんだよな。

車窓にツツジ。躑躅なんて、書けないね。
