昨日も言葉に触れましたが、いずれにしても適切な言葉をつなげて伝わりやすい文章をつくり上げるのは、難易度の高さを含めてこの仕事の醍醐味と言って間違いありません。
それを承知していても困惑に迫られるのは、初めて耳にする英単語です。特に最近のビジネス現場は乱発状態。そう感じてしまうのは、僕が日頃からビジネスの最前線、中でも英語力を必須とする外資系の会社に身を置いていないから。それゆえ取材という形で様々な言語が飛び交う敵地に飛び込むなら、半ば容赦のない英単語射撃を受けざるを得なくなります。当たっても死にはしないので大丈夫。ただ、まったくの初耳だとしばし呆然となるのは不可避。
今日のニューワードはレジリエンス。スペルはresilience.僕の耳に最初に飛び込んできたときは、住宅や邸宅を意味するレジデンス/residenceに聞こえました。かろうじて知っている単語に寄せてしまうのはよくあるパターンですが、間違いを生む元でもあります。それは経験で知っているし、何より会話の文脈として、そのタイミングで住宅が語られるのはおかしかった。レジリ? レジデ? レジレ? などと反復しているうちに、僕はまたしばし呆然となりました。
レジリエンスの直訳は、「回復力」「復元力」または「弾力性」。和訳が複数になるということは、原語においても意味合いがふくよかなのかもしれません。この言葉を用いた方は、「しなやかさ」と訳しておられました。そこで後に「しなやかさ」の英語翻訳を求めたら、flexibilityとか出てくる。この言葉では、ご本人の意図するところとは違うんですよね。ならば日本語で通してくれたらと思っても、それもまた気分ではないのでしょう。
では、僕はどう対処するか。言葉選びはその人らしさを表す大事な要素なので、可能な限り尊重して原稿に生かします。ただし片仮名で。理由は、和文にアルファベット表記が混ざるのは読みにくいし、美しくないと思うから。これは、無駄に意地っ張りな物書きの美観。
でも、たとえば「東京のレジリエンス」なんてタイトルを考えると、何となくカッコよさげに感じちゃうんですよね。これはおそらく、洋物と初物に弱い日本人の哀しい性なのかもしれません。飲み屋で調子に乗って英単語を使うと嫌われるのも、そんな性の裏返しなんだろうなあ。

これを背負える子は幸せなんだろうなあと思って。
