時代の常識、あるいは気分

自分の無知を嘆くばかりですが、この国の徴兵制は、明治六年(1873年)に発布された徴兵令によって始まったそうです。閉鎖的だった武士の時代を終え、諸外国との積極的な交流(ないしは交戦)を行う近代国家をつくる上で軍事力は不可欠。ゆえに当時は臣民と呼ばれた国民は、日本帝国を守る兵力となるべし。そういう理由でした。
17歳から40歳までの男子国民全員を、国民軍名簿に登録。20歳になると徴兵検査を実施。合格者の中から抽籤(抽選)で3年間の兵役に服する者を選出。これが徴兵令の軸でした。
昭和2年(1927年)になると、徴兵令に代わって兵役法が施行されます。やがて日中戦争が起こり、それが太平洋戦争へと拡大するにつれ、兵役に就くべき条件が緩くなっていきました。それまで徴兵の対象外だった学生までも戦地に送り込むという、昭和18年(1943年)に始まった学徒出陣がその代表例です。
何を言いたいかというと、映画やドラマで見るこの国の徴兵は、第二次世界大戦の直前、またはその最中の“赤紙”によるものが大半と思っていたんですね。ところが、それ以前から成年男子は軍に入るという国の決まりがあり、国民全体に「命を賭してしてお国に奉仕せよ」という常識が根付いていたら、やっぱり誰も徴兵を断れなかったんだろうと、そんなことを思ったのです。いやまぁ、主人公の周囲が次々に出兵していく、ここのところの朝ドラの影響ですが。
時代の常識、あるいは気分というのは、如何ともし難いのでしょう。ミド昭和に生まれた僕ら世代の中高時代は、教師による体罰が存在していました。怪我を負わせるとなればさすがに行き過ぎであっても、受ける僕らも、そして親も、「多少ならかまいません、先生」的な感覚を持っていたんですよね。
しかし今となっては異常です。改められて当然だと、当時を生きた僕らも理解できる。いやもちろん、徴兵と体罰を並べていいものではないだろうけれど、それも止む無しが当たり前となってしまう時代があるというのは、何とも恐ろしいと思うわけです。
前にも書きましたが、そんなことがまた頭を巡るのかと想像すると、ここからしばらくの朝ドラがしんどいなあと、ただそれだけの話です。

ここは毎年、昨年と今年が混在する場所です。

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