「俺のチャーハンは」

きっかけは忘れましたが、僕を含む男3人で、料理というか、自炊をするかという話になりました。僕以外の二人は30代後半で未婚。職業は飲食関連なので、帰宅時間がおおむね遅い。それでも自分で晩飯をつくるか否かが、彼らにとって最初のポイントだったみたいです。
厨房担当のAは、「あまりつくらない」。まぁ、仕事で料理をしていたら、家に帰ってまではやりたくないだろうな。一方、フロア担当のBが「俺はつくりますよ」と言うと、Aは「そうなの? 何つくるの?」と驚いていました。二人はけっこう長い付き合いと聞いていたのに、この件に関して話し合ったことがないのがおもしろくて、僕は拝聴する側に徹しようとしたんですね。
なのに「じゃ、タムラさんはつくりますか?」と振ってきたのはA。こういう場合、何がどう「じゃ」なのかよくわからないのは常。そしてまた、料理に関してたずねられて窮するのも毎度のこと。なぜなら僕は、自分のためにつくる飯は料理に属するのか疑問に感じているから。
もちろん、せっかく時間をかけるなら美味しいに越したことはない。そのためにレシピを検索したりはする。しかし、自分がつくった食事が本当に美味しいかどうか、正しく判断できない。となると少なくとも僕の場合は、飯より餌をつくって食べているのがふさわしい気がする……。
などという一定の結論を0.5秒くらいで思い返して、「まぁね」と曖昧に返事したんですね。その0.5秒くらいが我慢できなかったのか、Bが「チャーハンつくりますよね」と断定口調で被せてきました。
こうなると、もはやある種の自慢大会です。あまり自炊をしないと言ったAも、自分なりの玉子の混ぜ方について持論を口にし始める。そして「俺のチャーハンは」とBが切り出す。やがて僕までも、「いやいや、オレのは」と乗っかり出す。
そうした議論によって、新たなレシピが生み出されるとか、あるいは自炊する男子同士で安心感を分かち合うというような、特別な結果は誰も求めていません。ただ、相応に真剣になることが大事なだけ。あくまでこの3人に限り男の料理は、滑稽を楽しむことなのだろうと、僕としては一応の結論を得られてよかったと思った次第です。

日が落ちても蒸し暑いのに練習したい物好きたちです。

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