泣かない男と思われたまま

3カ月ぶりの髪切り。お馴染みの店長美容師による今回のファーストトークは、「高校野球、観ましたか?」
僕は断片的にしかチェックしていませんでした。最大の理由は、ドジャース戦の録画を観ることに時間を割いていたから。そんな返答は完全に期待外れ。しかし簡単に引き下がらないのが彼女のおもしろいところです。
「いやいや、野球好きなのに何で観ないんですか? 泣きません? あのひたむきな姿には泣かずにいられないでしょ!」
そこまで感情移入できるのはなかなかのものですよね。けれど僕の返答も我を通します。
「甲子園も野球として観ているから、そういう理由では泣けないなあ」
そう言い終わる前に被せ気味で「じゃトナオさんは何で泣くんですか!」と来た。その口振りに何かちょっと悔しくなって、オレだって泣かないことはないと言い訳を探し始めたのです。
プライムビデオで配信が始まった映画『花まんま』。うっかり観てしまったと言えば失礼千万だけど、大阪の下町で暮らす二人きりの兄妹の、妹の結婚式までの物語なんて、だいたい先が読めちゃうでしょ。明かされているストーリー上の唯一のフックは、その妹に別の女性の記憶があるという奇妙な事実。それでもなあと、辛くなったら途中で諦めてもいいやと観始めたのは、妹役の有村架純さんが好きだからでした。
で結局、他人の記憶を軸にした物語の先行きも、タイトルの意味合いも確実に了解しながら、ほぼラストで涙が……。披露宴での有村さんの泣き方が、いかにも花嫁のそれらしくてねぇ。これは物語ではなく、演技に泣かされた映画です。もしよかったら、ぜひ。
さておき、「じゃ何で泣くんですか!」と詰問された後、しばし答えに窮したのは、その『花まんま』による不覚の落涙がよみがえったからでした。この件を話すべきかどうか。しかし高校野球で涙腺が緩んだ話に続けるのはどうなんだろうと迷ったんですよね。それで躊躇しているうちに、彼女は別のお客さんのところに行ってしまいました。
まぁ、いいんですけれど、まるで泣かない男と思われたままなのが、妙に釈然としません。なんでだろ?

こんなところに自由の女神@赤羽。

 

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