明るいナショナル

1835年(昭和十年)12月15日は、松下電器産業の設立日。創業者は、たぶん朝ドラの主人公候補に挙がっているはずの松下幸之助さん。この人の系譜をたどるのであれば、1918年(大正七年)3月7日に興した松下電気器具製作所を起点にするべきですね。つい日付が目に入ってしまいまして……。
さておき、23歳のときに創業した製作所のメンバーは、奥さんと奥さんの弟の3人のみ。家内制手工業の見本みたいに、小さな借家で配線器具製作を始めたそうです。それが今や一大グローバルホールディングスにまで成長したというのが、日本のものづくり神話の支えになっているわけです。
それも一旦横に置いて、僕ら世代が松下電器にシンパシーを覚えたのは、ナショナルというブランド名の浸透でした。これはもともと、1927年(昭和二年)4月に売り出した自転車ランプのために絞り出した商品名。「国民的」になることを願った新製品が大ヒットし、ナショナルの名前は日本中の人が知るところになりました。
さらには、戦後の1956年4月2日に始まり、2008年9月まで続いた松下電器の一社提供番組『ナショナル劇場』のオープニングで流れた『明るいナショナル』という歌は、昭和の家庭に刷り込まれました。さっきYouTubeで検索したのだけど、なぜか甘酸っぱく響いたな。
他方、現社名のパナソニックも、最初は1955年に発売した輸出用スピーカーの名称だったそうです。自分たちがつくる音を世界中に届けたいという思いを、「汎、あまねく」という意味のPanと、「音」のSonicを組み合わせた造語に託したんですって。生活・空調・キッチンに至るまで存在する現在のパナソニック製品が、すべて音由来というのは今回初めて知りました
2008年10月1日、パナソニック株式会社に商号変更。同時にナショナルのブランドを廃止。グループ企業もすべてパナソニックに改め、創業者の名前が消えることになりました。それから17年。おそらく現代の若者、特に海外の人々にすれば、パナソニックと松下の関係性は希薄になっているだろうし、たとえば何かのきっかけで社歴を調べない限り、一個人が興した会社とは気づかないままでしょう。
いやまぁ、知って驚いてほしい気持ちはあるけれど、創業者の名前が遠くなること自体が良し悪しで語れるものなのか、僕にはわかりません。ただ、今日の日付を機会に、『明るいナショナル』を再び耳にできたのは、何だかとてもよかったと、そう思っただけです。

気温や湿度にも影響されるのか、何でもない夕景にも年末感がまとわりつくような……。

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