ナンバーワン・クリスマスソングは『Smile』

いささか卑屈ながら、クリスマス当日の12月25日には他にもいろんなことがあったはずと調べて、自分の無知を嘆きました。1977年に88歳で亡くなったチャールズ・チャップリンの命日だったとは……。
20世紀最大の映画スター、ないしは喜劇王と称される人ですから、僕も20代の頃に幾本かの作品を観ました。しかしモノクロかつサイレントの味わいは、酸いも甘いも知らない若造には退屈に感じてしまったのです。
それからだいぶ経った頃、『Smile』を作曲したのがチャップリンと知って、それまでとはまったく違う感銘を受けたのです。この曲は、チャップリンが監督・製作・脚本・主演を務めた1952年公開の『ライムライト』のためにつくられました。「最後に流れる」と勘違いされているようですが、作品のラストに披露されるのは、『テリーのテーマ』という別名がある『Eternally』。これもまた慈愛に満ちた旋律なのだけど、とにかくチャップリンは自分の映画のために数多くの曲を生み出した、音楽家の才も持っていたわけです。
劇場公開時のインストゥルメンタルに『Smile』という題と歌詞をつけて最初に歌ったのは、1954年のナット・キング・コール。これを原本として、多くのアーティストがカバーしました。僕が好きなのはエルビス・コステロ。ロッド・スチュワートのセクシーだだ漏れ感もいい。マイケル・ジャクソンはいかにも彼らしい表現で、昨年発売のアルバムに収めたエリック・クラプトンのそれもグッときます。
大御所女性シンガーのカバーも多いんですよね。ダイアナ・ロス。バーバラ・ストライザント。ナット・キング・コールの娘のナタリー・コール。日本人だとMISIA。ただし女性が歌うと、包み込むような母親の愛情的に聴こえるのは僕だけでしょうか。笑顔に対する直感が異なるのかな。男性だと、笑顔の解釈に照れや悲哀みたいなものが滲むような気がして、あくまで個人的には男声カバーに共感しがちです。
そうそう、ハナレグミの永積 崇さんも最新アルバムでカバーしています。これも哀愁たっぷり。やっぱりあの素敵なメロディは、いつの時代もシンガーの歌心を刺激してやまないんだろうな。
チャップリンを語るなら映像作品が本筋ですが、その音楽力を称えるべく『Smile』も12月25日の歌にしたいですね。もはや今日から、自分のナンバーワン・クリスマスソングはこれ! と言いふらすようにします。

12月24日の東京地方の降雨確率はわずか6.7%。なのに、という寒い日でしたね。

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