絶滅を想う日

1905年(明治38年)の1月23日。奈良県吉野郡で数日前に死亡したと思われるニホンオオカミを捕獲。その後いくつかの異なる発見情報が上がるものの、この件より確実な生存証明が立証されなかったため、IUCN(国際自然保護連合)のレッドリストが定める「過去50年間生存の確認がなされない場合」という条件に則り、二ホンオオカミは絶滅種に認定されました。
絶滅という言葉。わりと簡単に口にしてしまえるのは、地球上では決して珍しいことではないからかもしれません。恐竜がいい例ですね。人類が誕生するより昔に存在したという強大な生物も、現在は骨でしか確認できない絶滅種です。
恐竜は自然の理の中で滅んでいきました。一方で人間がゼロに追い込んだ生物もいます。二ホンオオカミは人の暮らしを脅かす害獣と見なされたため、駆逐の対象となったのが絶滅の主な理由とされています。
二ホンオオカミを消し去ったことで人間は幸福になったか? 答えはたぶんノーです。我々が奪ったのはひとつの種の未来だけではなく、食物連鎖という大きなシステムでした。ニホンオオカミが天敵だったイノシシやシカ、サルは大量繁殖を果たした結果、山中だけでは食物が足らなくなり、里まで下りて人間のエリアを侵し始めました。今は冬場なので減ったけれど、ちょっと前までは野生動物の被害がわりと頻繁に報告されていました。サルが東京23区内に迷い込んだというニュースもありました。
彼らが人間との境界線を踏み越えたのには様々な理由があるでしょうが、あるいは今から117年前に人間が天敵を絶滅させたのが原因だとしたら、これほど皮肉な話はありません。そんなわけで、今日はニホンオオカミをきっかけに絶滅を想う日にしようと思います。

いわゆる冬景色。

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