確定申告書類の提出で税務署に行ってきました。「まだ電子でやってないの?」と飲み仲間に驚かれましたが、1年に1回のこととなると来年からでいいかと怠惰な自分が顔を出しまして、今年もクルマを走らせました。
期限の前日なので混雑を予想し、税務署が閉まる午後5時の20分ほど前に現着。にもかかわらず、建物の入り口前には50人ほどの行列。幸いだったのは駐車場には空き枠があったこと。しかし、この時間から並ぶのはどうしたものかと……。
ふと目をやると、行列の先頭あたりに職員と思しき中年の男性が立っていました。出来上がった書類の提出だけなら行列をキャンセルできるのではないかと思い、説明を聞こうと近づいたら、何かをたずねたい人が次々に現れて僕の行く手を阻みました。溶けたアメに群がるアリのように。
そこで思いました。その職員の男性は、きっと朝から今まで何百回と同じ質問をされ、同じ数の答えを返してきたんだろうと。
その帰り道、よく行く駐車場が備わっているスーパーへ。そういうところってある程度買うと駐車料金が無料になったりするでしょ。だからクリアできる金額を意識しながら店内をめぐるわけですが、計算がザルなわりに小心者だからつい余計に買っちゃうんですよね。そんな話はさておき、袋いっぱいの荷物を提げて駐車場に戻ったら、警備員の男性から声をかけられました。
「警察の指導で右折出庫ができなくなりました」
ふむ、ついこの前まではそんな注意を受けなかったから、指導があったのはごく最近のことなのでしょう。僕は左折方向に家があるので特に支障はないと小さく確認したところで、税務署の職員を思い出しました。その警備員も、きっと何時間も前から同じ文言を繰り返し伝えてきたのだろうと。あるいは突然の右折禁止を問い質す粗い声を受け流しながら。
二人に共通していたのは、顔こそこちらを向けていても僕の瞳を見ていないことでした。あるいは僕という個人を認識していたのかもしれないけれど、放たれた視線に意識がこもっていたようには感じられなかった。徹底して機械的にさばかないと効率が悪いんでしょうね。やはりこの世には大変な仕事が多いのだと痛感しました。彼らがその晩に飲む最初のビールが美味いことを祈った次第です。

鋲またはリベット。力づくで仕事を果たす潔さに心を打たれる。
