「そんな頃もあったね」

ふとスイッチを入れたテレビが花火大会を映しました。それにしても花火の中継って難しそうですね。時には寄りの画も必要だろうと飛び散る火花にフォーカスするのだけど、それでは夜空いっぱいに広がる全体像がまるでわからない。なので基本は引きの画。そういう意味では地味な番組ですが、これが意外に飽きず、ぼおっと過ごす時間に適していました。
その途中で、つい気になってしまったのです。これはいつ撮ったのだろうと。次々に打ち上げられる花火だけを見ていれば、あるいはこの夏の最新映像かと思えるわけです。放映されていたのが午後8時過ぎのわりといい時間帯でもあったから、そこで再放送はないだろうという先入観もありました。
実は、2019年大会の再編集版。冒頭から見たので知らなかったのだけど、番組の最後で2020年以降2年連続で中止になったと種明かし(?)がありました。けれど途中でも最近じゃないことが推測できました。花火の合間に何度か挟まれた、アナウンサーが一般客に感想をたずねるシーン。そのマイクを差し出す距離の近いこと。そもそも誰もマスクをしていない……。
ああ、なるほどねと。およその事情を悟った瞬間、そんな頃もあったねと懐かしさが込み上げてきました。同時に、あれほどマスクを嫌っていた自分でさえ現在の状況を受け入れている自然さを思い知って、いささか切なくもなりました。
あの頃に戻れるか? 全人類の記憶と新型コロナウィルスが完全消滅しない限り、それは無理でしょう。となれば、好まざるとも様々なことを知ってしまった次の時代を過ごす他なさそうです。とは言え、何らかの対策と縁を切れないままでも土手に座って、「そんな頃もあったね」と大きな花火を見上げたい。これも、いささかの切なさを伴う心からの願いです。

富士山も麓に近づけば、コンビニの裏山になっちゃうのね。

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