どんなに苦しめられようと、それがなければ先に進めないものって何だ?
自分で振っておいてナニですが、なぞなぞが苦手なのですぐに答えを出します。締め切りです。
先月後半、「いつまでに」と指定されない原稿書きの仕事がありました。とは言え、他の記事も依頼された不定期刊行物なので、全体の進行状況に即したおよその締め切りはあったのです。ただ、当初から最後に取り掛かる予定だった記事ゆえ、担当者が気を遣ってくれたのか、具体的な納品日の指定がなかったんですね。
となると、勝手に推測するわけです。このへんまでに提出すればお咎めなしだろうと。そうして自分なりに予定を組んでみたのだけど、締め切りが曖昧な原稿はどんどん先送りしてしまい、気付けば自分の首を自分で締めているようになりました。
どんな仕事にも締め切りは必須。逆を言えば、締め切りのないものは仕事ではない。
そう言えば、村上春樹さんは新作の書下ろしに締め切りを設けず、日々コツコツと書き溜めて出来がったところで出版社に提出するらしいんですね。それが許されるのは大物だからではなく、誰もが待ち望む『作品』だから。何よりも、締め切りなどなくても書く衝動が絶えないところが素晴らしい。
対して僕にできるのは、様々な制約があってこその仕事。なので、時に「そんなに早いの?」と嘆きたくなる締め切りなくして成立しません。というかゴールがないと、いつストレッチを済ませ、どんなシューズを履けばいいか悩んだまま、延々と走り出せないのです。そんな苦悶を久しぶりに経験しました。やがて先方から「まだ?」と催促されるんじゃないかとびくびくし始める。あれは精神状態を落としますね。
そこで痛感しました。それがなければ先に進めない締め切りは、神様のギフトだと。ありがたく頂戴しながら、仕事に励みます。たとえ「じゃ、連休明けに提出よろしく」と押し切られようと、決して嫌な顔などせずに。
こちらは巻積雲【けんせきうん】。いわし雲やうろこ雲の別名あり。天気が悪くなる兆しらしい。