2000年前から一見に如かず

昔の人は本当にいいことを言うシリーズに属します。百聞は一見に如かず。もはや意味を説明するまでもない故事成語ですが、どれくらい昔かというと、約2千年前の中国で編纂された『漢書』に記されているそうな。原文はもう少し長いみたいです。
「百聞不如一見、兵難隃度」
要約しますと、戦争のはるか最前線にいる兵士の様子はよくわからないので、人伝よりその目で直接見ほうがいい」となります。原文を洗い直して、胸がチクチクしました。
昨日は男子プロゴルフファーの宮里優作さんの試合を見るため、茨城県の取手へ。気づけば丸3年のブランク……。
言い訳はあります。2020年からのコロナ禍による試合数の削減と入場規制が第一。取材も制限の対象となり、あとは移動経費の削減等もあり、それに甘んじる形ですっかり遠ざかってしまいました。
にもかかわらず連載は継続。どうしていたかというと、ほぼ電話取材。それが可能になったのは、コロナ禍以前の長い付き合いの賜物という他にないでしょう。ありがたいことです。
なおかつ優作さんは2018年から2019年までの2年間、アメリカ以外の国をめぐるヨーロピアンツアーに参戦しており、その間も国際LINE電話を交わしていました。それが奇しくもリモート取材に対する慣れを生んだ面もありますが、取材する者としては片手どころか半身落ちの不甲斐なさが否めなかったのです。
試合結果はおよそリアルタイムで伝わります。けれど、そのスコアに至った生々しい経緯は、それが起きた場所にいないとわかりません。天候や会場の雰囲気はもちろん、一打ごとの選手の表情やしぐさ。上手くいったときの歓喜や、そうではなかった場合の苦渋といった見る側の感情も含め、何かを知るのに必要不可欠な要素は、文字通り最前線にしかありません。
だからね、見ないとダメなのよ。何より、どんな事情があれ現場に触れていないと信頼感が薄らいでいく。僕はそれが一番怖かった。
百聞は一見に如かず。これは他人を諭すのではなく、自分に言い聞かせる言葉ですね。長くこの仕事をやって来て今さら? って話ですが。

現場にいれば雨にも濡れる。そんなわけで今大会は日曜日まで続きます。

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