過去の訃報に触れるたび

1日前の6月24日は、1989年に亡くなった美空ひばりさんの命日でした。その名を聞いても、今の若い人はピンと来ないでしょう。昭和ミド生まれの僕の場合、かつての芸能界を背負っていた「ザ・大御所歌手」という印象が残っているけれど、ファンを公言するほどの興味は持ってはいませんでした。世代的な相違が大きかったんですね。両親と同年代の人で、戦後の混沌とした日本に希望を与えた稀代の歌い手という、歴史の教科書的な人物でもあったし。
とは言え、亡くなる数年前から病に侵されていたことや、実は相当な身体的負担を伴って敢行した1988年の東京ドームコンサートに関する逸話などは、当時のメディアがこぞって伝えたので、たぶん多くの人が知っていたと思います。なので僕にしても、詳しく知らないけれど凄い人という記憶があるわけです。
歌手としての美空ひばりさんのリアルな凄みは、かなり後になって気付かされることになります。英語詞のジャズを歌った音源が本当に素晴らしかった。耳の良さというか音感の鋭さはよく聞かされていましたが、そうした古いエピソードを追体験して、酷く残念に思ったのです。もっと長く生きてくださったら、若いクリエーターが美空ひばりさんに新たな魅力を与えたんじゃいないかと。52歳だったんですよね。早すぎたという他にありません。
今日は、2009年に他界したマイケル・ジャクソンの命日。1958年生まれなので、完全に僕と同世代です。MTVの普及と重なった80年代の大活躍は、洋楽に疎かった僕ですら見惚れるほどでした。あるいは、彼が残した映像は今もYouTubeなどで見られるので、マイケル亡き後に生まれた世代にも多大な影響を及ぼし続けているはずです。
後年は、音楽活動よりもスキャンダルが取り沙汰されるようになりました。そのあたり日本人的感覚に従えば、昭和の芸能界っぽさを漂わせた最後の大物歌手とも言えるわけですが、個人的にはもっと歌を聴かせてほしかった。最期が謎多き薬物中毒なんて、本当にいたたまれなかった。そのマイケルも50歳でした。生きていれば64歳なんだよなあ。
そうした過去の訃報に触れるたび考えてしまうのは……。
この先は書かないほうがいいかもしれません。何を思ったかは想像にお任せすることにします。

手前にピントを置く撮り方がスマホでもできることを確認できた(だけの)写真です。

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