還暦と、その記念と2023年の立春(2)

そんなわけで昨日の続き。なのですが、すでにお気づきの通り、要は今年の初めにギターを買っただけの話に過ぎません。そう括ってしまえば続編を書く意味がないので、新しいギターが万人受けし難い、ちょっと変わった形だったことだけ記しておきます。
詳細を伝えられてもウザいと思うので省きますが、おそらく最初の1本には選べないほど奇異なそれは、マーティン本社内にあるカスタムショップがつくったものでした。万人受けし難いと言ったのは、王道あるいは定番のスタイルから逸れているからです。ゆえに一般的価値もさして高くない、いわば好きな人にだけ好かれるモデル。好きになった僕にはどうでもいい条件だけれど。
さておき肝心なのは、どこでつくられたかということ。昨日お話した、還暦の記念に持ち上がったアメリカの本社でカスタムをオーダーする計画。それを実現してくれるのが、別注品や特別仕様を手掛けるカスタムショップなのです。その特別チームが仕上げた、たぶん現時点で世界に1本しか存在しないギターが目の前に現れた。還暦記念計画が水泡に帰し、ごく普通に60歳となってから4か月後の、古い暦で1年の始まりを示す立春の日に。そういうの全部ひっくるめて、僕は運命を感じてしまったのでした。
運命について、こんなふうに考えています。僕に与えられながら、自分でも1日1ページしか読めない物語。完結するのがいつかはわかりません。ただ、今日まで相当なページを繰ってきたからこそ明らかになった筋道があります。その時々で起きた予期せぬ出来事は、実は偶然ではなく、おおむね伏線回収を待つ必然性をはらんでいたということ。自分が何と出会い何と別れ、何を求めて何を拒んだか。それらがすべてつながった結果、今日の僕が出来上がり、この場所にたどり着いている。そう読まないと、様々な事実と辻褄が合わなくなる。
いやまぁ、そんなふうに考えてしまうのは、年々振り返るベージが増えていくからなのだけど、僕に運命を教えてくれた一つの存在がギターであったと、そういうオチです。この話、もっと早くしてもよかったのですが、ただの自慢になるようで避けてきました。二十四節気がいよいよ最後の季節に入るので、そろそろ頃合いと思っただけです。
今楽しみなのは、結果的(必然的)に還暦記念に間に合った新しいギターと過ごすこれからの物語です。偶然に思えた出会いがどんな必然に帰結するのか。それはもちろんわかりませんが、ある計画を練っています。話せるときが来たら、また。

この子が二本目の運命ギター。だいぶ下膨れなのでオタフクと呼んでいます。

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