少年に直球勝負!

またまた野球の話です。先日の試合、相手チームには大人に混ざって一人の少年が参加していました。上下きっちりユニフォームをまとい、9番セカンドで先発。少年野球チームに所属しているのは明らかでした。そういう微笑ましい感じは相対する僕らとしても大歓迎です。しかしキャッチャーの僕には、微笑ましくない困惑がありました。
何にせよちっちゃいのです。屈む僕の視線の少し上に彼の頭。身長は、たぶん140センチくらい。後で聞いたら小学4年生だったそうな。そんな野球経験は豊富そうでも確実な子供にどんな球を投じればいいのか? ピッチャーにサインを出すのはキャッチャーの役目です。少しだけ考えて、決意しました。どこまでも直球勝負! 右の人差し指を1本伸ばすストレートのサインを出すと、ピッチャーもうなずきました。以心伝心ってやつです。互いに今何をすべきかを完璧に理解した瞬間でした。
真っ向から全力で向き合う。いや、さすがに身長140センチのかよわい体躯に9割以上の力で投げ込むことはないけれど、最低限7割以上の出力で臨まないと失礼に当たると思ったんですね。彼も大人に混ざることは最初から知っていたはずだから、変に子ども扱いされてよろこびはしないだろうと。
大人同士の世界でも、上級者が中級者以下に手抜きするような状況があります。僕が中級者以下でそんな場面に遭遇したら、いささか腹立たしい気分になります。無論、ヘタクソ相手じゃ本気になれないのはわかるけれど、まるで敵わずとも相応の出力で対峙してくれたほうが清々しいんですよね。それ以上に、そういうのは人間としてどうかという問題だと思うのです。
そんなわけで、3打席立った少年には全球ストレート。ストライクはすべて思い切り振っていました。しかも初回こそ三振だったものの、2回目はセカンドゴロ。3回目はショートフライと、だんだんタイミング合ってきて、4回目があったらやられていたかもしれません。
ゴロやフライを打ってアウトになった後、彼が放ったバットを拾って手渡してやりました。それはプレイ上のコミュニケーションでもあるのですが、少年は常にうつむいて受け取り、一度も礼を口にしなかった。その子供らしい意地の強さこそが、その日一番の微笑ましさでした。大人げないと思ったかな。伝えるつもりはないけれど、それは僕らの誠意でした。

頂き物のハワイビール。こっちで飲むと味が違うような……。メリークリスマス!

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