なぜ僕らは興味を持ってしまうのか

JAXAは12月25日、同日の日本標準時16時51分にSLIMの月周回軌道投入が成功したことを発表しました。何のことだか、よくわかりませんよね。
SLIM(スリム)は、Smart Lander for Investigating Moonの頭文字を取った小型月着陸実証機およびそのプロジェクト名。高精度着陸技術を擁し、世界初となる誤差100m以内の精密着陸に挑むのは、重力がある天体の探査において、従来の「降りやすいところに降りる」から、「降りたいところに降りる」に切り替えることを目的にしたからだそうです。
どれくらい小型かというと、高さ2.4m×縦1.7m×横2.7m。打ち上げ時の質量が700~730kgなので、軽めの軽自動車くらい。と言われてもサイズ感は不明ですが、今年の8月にインドが打ち上げた月探査機『チャンドラヤーン3号』が1.75トンと聞けば、「確かに小さいんだね」と納得できそうです。
ちなみに、SLIMが打ち上げられたのは9月7日。このときにはXRISM(クリズム)という X線分光撮像衛星も同時に宇宙へ向かい、こちらはすでに計画通りの衛星軌道を運行中。
さておきSLIMが月面の「降りたいところに降りる」予定日時は、日本標準時の2024年1月20日0時20分頃。となれば、年明けには歓喜のニュースが伝えられるかもしれません。たぶん僕もよろこぶでしょう。その一方で、アポロ計画にワクワクできた子供の頃にはなかった矛盾とも向き合わざるを得なくなるのです。
ここに来て宇宙に対するフィジカルなトライが盛り上がり始めています。いずれも目的は宇宙開発。SLIMにしても、地球人未踏の火星探査が念頭にあるらしく、地球規模と言うより各国レベルで開発競争が激化していくみたいなんですね。
しかし宇宙は、または月や火星は誰のものなんだろうという疑問が拭い切れません。現時点でそれらの星々には所有権者がいないようなので、たとえばコロンブスの新大陸発見と同じように、新や未知の一番乗りを理由に我が物としていいのか、どうか。あるいは宇宙に目を向けるより、まずは自分たちの星で起きている様々な問題の解決に注力したほうがいいのではないか、とか、いろんなことを考えてしまうのです。
それでもSLIMが無事に精密着陸を成し遂げたら、僕はよろこぶはずです。だからもっともわからないのは、なぜ僕らは宇宙に興味を持ってしまうのか、ということなんですよね。どなたか教えてくれませんか? 12月も晦日じゃ誰も悩みを聞いてくれないだろうけど。

この時期っぽさに感化されて撮りがちな風景。

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