鬼が呆れるまで

来年のことを言えば鬼が笑う。
「鬼って何だそれ?」と真顔で問われてしまえば、返す言葉を失います。諺や慣用句は少しずつ忘れ去られていくものなのでしょう。再び髪切りの店長の話ですが、14歳女子のお客さんにハンサムと言ったら、きょとんとされたそうです。「ああ、イケメンね」で会話が再開したことに驚きが隠せなかったらしい。
さておき昨日は、今年の仕事ぶりの、結局は愚痴みたいな話になりました。けれど、捨てる神あれば拾う神あり。って、これも14歳女子にはきょとんかな。12月というより本年最終週になって、来年から始まる単発ではない仕事の打ち合わせが2件ありました。いやもう、何か新しい企画が立ち上がった場面で自分の名前を思い出してもらえるのは本当にありがたいことです。
しかし聞いてくれ14歳女子。好事魔多しという慣用句もあってね。期待値の高い案件ほど実現しないケースは少なくなく、何事も実際に始まるまでは浮かれちゃいけないってのは自分の経験則なんだよ。14年しか生きていなくても、君にもそういうことがあったんじゃない?
え~と、髪を切りに来た14歳女子が誰か知らないまま、独り言の相手になってもらっています。何かヤバい大人ね。とは言え、今年最後の依頼は確実にスタートしそうなので、まだ来ぬ明年の大きな安心材料になります。よかった! と大声で叫びたい気分です。
「それでもお前、一寸先は闇だぞ」と、鬼もまた慣用句を用いて釘を刺そうとするわけです。何が起こるかわからないのが未来。ゆえにネガティブに手足が生えたような鬼は、明日を楽観視する人間を嘲笑うのでしょう。
まぁ、鬼の言い分も理解できます。けれど奇態を見せつけ戒めるだけの存在をはねつける僕らの武器は、希望です。それがどんなに不確かであれ、それなしでは生きられない。誰かに「かわいいね」と褒めてもらえる期待を抱いて髪を切りに来た14歳女子も、たぶんそう。
いやいや、そんな大袈裟な話ではなく、ひたすら来年のことを言って、鬼が呆れるまで笑わせてやろうと、あと3日の今年いっぱいはそんな心持で過ごしたいと思った次第です。振り返って笑い死にしそうな鬼がいたら怖いけどね。

空の青とビルの白のコントラストがいいなあと思っただけです。

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